2012年4月19日木曜日

しぼり出す言葉

 超一流アスリートがしぼり出すひとことは、常人にはかり知れない深さをもつ。
 96年のアトランタ五輪で2大会連続メダルを獲得したマラソンの有森裕子は、けがから復活した勝利に「自分で自分をほめたい」と言って、泣いた。

 水泳の北島康介は4大会連続の五輪出場を決めてロンドンに行く。これだけでも超人に違いないが、北島の言葉がもっといい。

 「自分でもさすがと思う」・・・だって。

 このひとことをさらりと言える人が日本に何人いるだろうか。
 アテネで金メダルを取ったときは「チョー気持ちいい」、北京の金では「何も言えねえ」と言って、わたしたちに感動をくれた。
 
大リーグのダルビッシュはほろ苦い勝利に満足せず、ファンのスタンディング・オベーションに下を向いた。対戦したイチローは「彼のプライドが自分を許せなかったのだろう」と感心した。
ふがいない自分を許せない闘魂がある限り、ダルビッシュはきっと立ち直るとわたしは思う。

 遠い昔、高校の担任がクラスで「お前たちは死んでも長島にはなれないが、努力すれば東大生ぐらいにはなれる」と言って笑わせた。ロンドンまであと100日。天才アスリートだけが言えるひとことを楽しみにしている。(の)