2013年10月31日木曜日

蕎麦屋の犬

たまに行く蕎麦屋に黒い駄犬がいる。蕎麦屋の裏手で炎暑の夏も、木枯らしの冬もずっと外につながれたままだ。
9月の台風のときはびっくりして暴れまわり、首輪を抜いて逃走したが、2日目におなかを減らして帰ってきた。根性がない。

いまどき家の外で犬を飼っているという図も珍しいが、この犬がそこはかとなくブサイクな駄犬なのが憎めない。
なんというか、そう昭和レトロの犬とでもいうんですかね。夕日に向かってボーッと座っているうしろ姿なんか限りなく貧乏くさい。

そのうしろ姿を眺めていると、子供のころ公園の片隅で拾ってきた数知れぬ捨て犬たちの姿に重なる。そんな思いもあって蕎麦屋に行くとまず犬にあいさつにいく。

容姿に恵まれず、根性もない。でもお前には愛嬌がある、そこがいいとこだ、と言って聞かせる。わかったのかワンとうなずく。
しばし犬と遊んで、店に入ると先に頼んでおいたソバが出来ている、という段取りだ。店の奥さんもあきれている。

店の近くのあぜ道に白いコスモスが咲いていた。いつかこの駄犬を連れてコスモス畑を歩きたい。あの子供のころのように。(の)